
スウェーデンのアルコール政策の目標 アルコール政策の最終目標は、アルコールの害を軽減する手段として、アルコール総消費量を削減することである。これはのちに具体化され、「1980年から2000年の間に総消費量を最低25%削減する」という目標が設定された。これは、世界保健機関(WHO)が採用する欧米地域の保健政策が目指す方向と一致している。 スウェーデンが総消費量削減のために採用した方策は、アルコールの入手機会を制限する措置と需要を抑制する措置を組み合わせたものであった。アルコール総消費量を制限する最も重要な方法は、アルコールの入手の機会を制限すると同時に、情報・教育・世論形成・社会医療措置を通じて、飲酒習慣を改善してゆくことである。スウェーデンのアルコール政策の基本は、予防策・抑制策・アルコール常用者の治療という3つの対策が、密接な関係の中で相互に補完し合う形を取っている点にある。 スウェーデンのアルコール政策は全国民を対象とする措置を基本としている。これに加えて重要な補足措置があり、特に危険なグループ、とりわけ青少年、アルコール常用者の子供、様々なアルコール多量摂取者のグループを対象としている。 アルコール政策の具体的目標を以下に挙げる。 *積極的な価格政策などによるアルコール入手機会の制限 *国民における適度な飲酒の習慣付け *対応と判断が必要となる特定の状況下における禁酒の促進 *低アルコール飲料への移行 *子供や音少年のアルコール大量摂取の防止 *アルコール信奉からの脱却 スウェーデンと欧州連合 1994年11月の国民投票では52%が欧州連合(EU)加盟に賛同し、スウェーデンは1995年1月1日付けで加盟国となった。国民投票前には熱い政治討論が繰り広げられたが、そのテーマの1つがスウェーデンの伝統的アルコール政策の今後であった。 EUの主旨は貿易・競争の障壁を取り払う二とである。この点からみると、スウェーデンのアルコール政策のうち、独占制度及び他のEU加盟国からの帰国時に持ち込むことのできるアルコール量の規制という2つの分野が影響を受けると考えられる。 アルコールの消費とアルコールに関連する問題が増大すると予想し、将来を憂慮する声は多い。いくらかの変化を受け入れ、ヨーロッパの他の国々にならってアルコールを扱うことを学はなければならないという主張もある。しかし、EU加盟に関する討論とは別に、スウェーデン人の多くが、より自由なアルコール政策に肯定的で、そのような考えを持つ人々はおそらく増えつつある。 これを示す1つの例として、1988年と1992年には、スウェーデン人の約40%が食料品店で
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